2015/08/10(月) 紀伊半島縦断1日目 5

くろしおは2人掛けの席しかない。

そのため、3人で固まって座るなら席をひとつグリンとひっくり返す必要がある。

とりあえず列は前の方にいるので、とりあえず席は取れるだろうから

さっさと2列確保しようということになった。

10分ほど待って、新大阪駅から特急くろしおが来た。

なんだこれ。めっちゃ人乗ってる。

驚く時間もなく、ドアが開き、乗客がなだれ込んでいく。

新大阪駅からの乗客たちが、2人席の片方だけを占拠している。

天王寺駅からの乗客は、その片方にどんどん座っていった。

完全に開いた2人席は結局最後まで無かった。

後ろは人がぎゅうぎゅうに詰まっていて戻れない。

前の車両は指定席だ。座れる座席はないし移動もできない。

立たなきゃならなくなった。これだから自由席は。

ほんと、是が非でも次から指定席を買おう。

座席と座席の間で立ち乗りって晒し者にされてるみたい。

連結部分に移動した。

同じことを考えた先客が2人いた。

1人はスーツのおっさん。1人はペットの犬をゲージに入れた若い女性。

自分は乗務員入り口前を陣取る。

リュックから文庫本を取り出し、読むことにした。

女性は犬をキャンパスのノートで仰ぎ、おっさんはスマホを見ている。

特急が発車した。

気付いたが、この連結部分、冷房がかかっていない。

どうにもこうにも暑い。新幹線の連結部分は冷房がかかっていたのに。

たまに1号車のドアが開いて、冷房の風がすーっと通り抜けていく。

風が心地いい。指定席の悠々自適なスーツのおっさんとかが恨めしい。

それにしてもほんとに暑いな。

ズボンの中から、靴の方へ汗が垂れていくのが分かる。

こめかみから、額から、滝のような汗が噴き出てくる。

灼熱の密閉空間。子どもが取り残されて亡くなるパターンのやつ。

おっさんも汗を拭き、女性もしきりに水を飲む。

犬もベロを出してハッハッと言っていた。この空間は、暑い。

3人と1匹はヘロヘロになっていた(たぶん)。

自分はあまり汗はかかないけど、人生でこんなに汗をかいたことはない。

金魚のタオルで必死に汗を拭いた。涼しそうな金魚の柄が皮肉っぽい。

だんだん本の内容が頭に入らなくなってきた。

あー暑いな。一瞬、頭がくらっとした。

目の前が白くなり、足がもつれた。立っていられなくなり座り込む。

胃が丸ごと口から出てくるような猛烈な吐き気に襲われた。

とりあえず吐き気をこらえて座り、タオルを口に当て落ち着かせる。

動悸がすごく早い。呼吸すると気管支や喉、胸の奥などが痛い。

これは熱中症かもしれん。

この状況下でiPhone熱中症の症状を検索した。

爪を押して、ピンクの部分が3秒白に戻らないとやばいみたい。

押してみた。2秒くらい経って、じわ~っと白に戻っていく。

知らんけど1秒足りんから、熱中症の一歩手前なんだろう。

吐き気との闘いだった。座り込み、リュックサックに顔をうずめる。

iPhoneを握りしめ、次の和歌山駅まであとどれくらいか、Googlemapを見る。

青の●がゆったり線路の上を動いている。

まだまだ和歌山まで止まらないようだ。マジ遠い。

時折1号車から見える前方の線路が永遠の長さに見えた。

20分くらい経ち、和歌山駅に到着。

知らん。誰が降りるか知らんけど、席があったら座る。

フラフラ歩いていたら丸山がこっちに来た。席が取れたらしい。ありがたい。

席に座り、感謝の言葉を告げる。得意げにしている。

深呼吸。途端に吐きそうになった。

あまり電車に乗り慣れていないとはいえ、己の甘さを呪うばかりだ。

冷房にあたりながら座っていると、少し楽になっていく気がした。

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